単位換算の落とし穴 — キロとキビバイトは別物
コラムMB vs MiB、KbpsとKB/sの違いなど、紛らわしいデータ単位を整理
「1TBのHDDを買ったのに、パソコンでは931GBと表示される」——このような経験はないでしょうか。HDDのメーカーが詐欺をしているわけではなく、「キロ」の定義の違いによる表示の差です。
データの単位は、日常的に使う単位とは異なる定義が混在しており、混乱を招くことがあります。この記事では代表的な落とし穴を整理します。
SIのキロ(10³)とIECのキビ(2¹⁰)
日常生活で「キロ」というと1,000倍を意味します(km、kg、kHz など)。これはSI単位系(国際単位系)のプレフィックスです。
一方、コンピュータは2進数で動作するため、歴史的に「キロ」を2¹⁰ = 1,024倍として使ってきました。この混乱を解消するためにIEC(国際電気標準会議)が定めたのが「キビ(kibi)」などの2進接頭辞です。
| SI(10進) | 値 | IEC(2進) | 値 |
|---|---|---|---|
| KB(キロバイト) | 1,000 B | KiB(キビバイト) | 1,024 B |
| MB(メガバイト) | 1,000,000 B | MiB(メビバイト) | 1,048,576 B |
| GB(ギガバイト) | 10億 B | GiB(ギビバイト) | 約10.7億 B |
| TB(テラバイト) | 1兆 B | TiB(テビバイト) | 約1.1兆 B |
HDDの容量表記が小さく見える理由
HDDやSSDのメーカーは容量をSI単位(10進数)で表記します。「1TB」は1,000,000,000,000バイトです。一方、WindowsやLinuxはこれをGiB(2進数)で表示するため、1TB ÷ 1.0995(1GiB = 1.0995GB)≒ 931GiBと表示されます。
macOSはOSのバージョンによって表示方式が変わっており、現在はSI単位(GB/TB)で表示します。このため、同じドライブでもOSによって表示容量が異なって見えます。
通信速度の単位の混乱
インターネット回線の速度は「Mbps(メガビット毎秒)」で表示されることが多いですが、ダウンロード速度の実測値は「MB/s(メガバイト毎秒)」で表示されるアプリが多く、混乱の元になっています。
1バイト = 8ビットなので、100Mbpsの回線では理論上 100 ÷ 8 = 12.5 MB/s が最大速度です。「100Mbpsの契約なのにダウンロードが10MB/sしか出ない」は概ね正常な速度です。